こんにちは🐹最近論文手直しがひと段落してほくほくしているはむすたさんです🐹
はむすたさんはtwitterの住民なのですが、バイク乗り回して帰ってきたらあれ?タイムラインが騒がしい。ラット界隈がざわついている…?さかのぼってみて、これは…と思ったので、はむすたさんはサイトの更新に走りまして今書いてます。
ことの発端は5/8 (土) の今朝、フジテレビ系列「めざましテレビ」さんでファンシーラットが紹介されたことにあるようです。動画付きでブリーダーさんも出てきて…「かわいい!賢い!注目!ファンシーラット!!💛」までは良かったのですが…
「飼いやすさ小動物No.1!」
……(。´・ω・)ん?…
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚ Д゚) …?!
(つд⊂)ゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
( д ) ~゜ ゜メダマポーン
(; Д ) !!ファーーーーーーー‼‼
ラットは確かにかわいい。賢い。でもそれだけの先入観で、「可愛い」だけで飼い始めていい動物ではない。それはもちろんラットだけではなく、すべてのペットに言えることでもあります。
可愛いだけが先行する悲劇、ご存じですか。いくつか例を挙げてみようと思います。
アライグマ
「あらいぐまラスカル」は母親を亡くしたアライグマの子ども「ラスカル」を主人公の男の子が引き取り、家で育て、友情をはぐくみ、そして別れる日までを描いたアニメーション作品です。日本では1977年に放映されていました。有名なアニメなため知っている方は多くいることでしょう。ちなみに、アメリカの小説が原作です。「はるかなるわがラスカル」ですね。
かわいらしいラスカルの姿に「可愛い!!」と人気がでたのをきっかけに、ペットとしてのアライグマが日本に輸入され、流行。多い年には年間1500頭もの輸入があり、一般家庭でペットとして飼育されたアライグマは2万頭以上だと考えられています(宮下、1993年)。しかし、アライグマが可愛くおとなしいのは幼少期のみ。その後、性成熟するにしたがって次第に狂暴化し、ペットとして飼える状態ではなくなっていきます。その悲惨な様子はアライグマ「ぺー太」の飼い主が出版した『ぜったいに飼ってはいけないアライグマ』、や、その紹介記事である朝日新聞の記事、『アライグマ、安易に飼い「流血の日々」 次第に見せた「野生の顔」』をぜひご参照ください。
ペットとして飼育されていたアライグマを飼いきれずに手放した、飼育環境が甘く脱走されたなどにより、アライグマは日本全国で野生化。農作物を食い荒らす被害、家畜や在来の動物、ヒトへの寄生虫や感染症のリスクを増やす危険性、生態系を大きく崩す問題などが生じています(揚妻-柳原、2004年)。とくに農業への被害は大きく、2012年時点で全国で3億4千万円の被害額相当に上ると計算され、そして駆除されたアライグマは2010年には年間2万5千頭に達しました。(アライグマ防除の手引き、環境省外来生物対策室、平成26年3月改訂、2021/05/08アクセス)。駆除されたアライグマに罪はありません。罪は安易な飼育を始め、逃がしてしまった人間にあります。
シベリアンハスキー、チワワ
アライグマは極端な例でしたが、犬でも同様の問題は繰り返し定期的に起きています。「動物のお医者さん」というマンガ、そして実写ドラマ化により一躍人気になったシベリアンハスキー。そして『どうする?アイフル?』というCMで有名になったチワワ。可愛いと取りざたされ、衝動買いし、飽きて捨てる、飼育放棄する問題。ブームが去ったあとに保健所へ持ち込まれる問題などが繰り返し、繰り返し起きています。東洋経済の2018年のこちらの記事でも伝えられています。次はどの犬種が犠牲になるのでしょうか。いつまで同じことを繰り返せば学ぶのか…。人間はおろかなり。
コツメカワウソ、ハリネズミ、…もしかして近いうちにモルモットもくる…?
2018年頃からでしょうか。はむすたさんがSNSやニュースを見る限りでの肌感覚なので、明確なソースはありませんが、「珍しい動物を飼いたい欲」から始まる飼育放棄、不適切飼育パターンが増えているように感じています。そしてこれはTwitterやYoutube、InstagramにTikTokといった動画や画像付きであげられるSNSの普及に伴う問題なのではないかと、はむすたさんは推測しています。珍しい動物で、しかもそのかわいい側面だけを取り上げた、もしくは切り取った画像や動画は目を引きます。正直言って本当にかわいくて、かわいくて仕方ないです。モルカーだってとてもかわいかったですよね。でも、お願いちょっと待って。
飼育放棄問題に関して、PEACEさんの記事からコツメカワウソの例を、日テレのニュース記事からハリネズミの例を、獣医師のための医療情報サイトからモルモットの例を挙げておきます。
モルモットはペットショップでの取扱数が倍に増えているのを今ひしひしと感じています。モルカーの影響でしょうね…。半年後位に問題が出てくるのではないかと今からひやひやしています。
はむすたさんが今日、Twitterでなじみのラット界隈の友人と話していて、最も危惧したのは「ラットの値段の手ごろさ」です。『珍しい動物ブーム』で取り上げた、コツメカワウソやハリネズミ、モルモットは比較的値段が高く、万を超える値段は珍しくありません。その金銭的ハードルの高さゆえか、衝動買いのような飼育ブームは爆発的と言えるほどには広まらなかった印象があります。ですが、ラットはそれこそ2000~3000円で生体の購入が可能です。
そもそも、犬猫以外のペットは全て「エキゾチックペット」と呼ばれるものであり、飼育情報は少ないことが多く、そもそもその動物を診療できる獣医さんは限られています。東京や大阪など都市圏ではまだしも、地方や田舎にいくほど見てくれる獣医さんはゼロに近づいていきます。そして、保険がきかない&完全自由な獣医診療。投薬や手術で10万円かかることは珍しくありません。それでもあなたは飼えますか?預かった命に、責任を持てますか?あなたのそばで、最期まで、幸せに、快適に、自由に暮らす環境を提供し続けられますか?
最後にラットの話をきちんとしましょう。
ペット用のラットはファンシーラットといって、ヒトの飼育管理のもと繁殖、販売されている大きなネズミです。種としては、新宿や渋谷の街中、田舎の畑や倉庫など、日本だけでなく世界中ありとあらゆるところに生息している、「ドブネズミ」と同種です。学名はRattus norvegicus。ちなみに街中を走る黒いネズミには他に、クマネズミ(Rattus rattus)というのもいます。2種の違いは体の大きさと耳の大きさ。気になる人は見分け方を調べてみてね🐹
さて。ファンシーラットは日本ではマイナーですが、海外ではメジャーなペット。社会性が強い生き物でもあり、複数で飼育するとお互いに毛づくろいをしたりじゃれあったりと、ラット同士のコミュニケーションを観察できます。そしてラット同士だけでなく、飼い主であるヒトとのコミュニケーションをとってくれます(個体差はあります)。
撫でてほしいと近寄ってきたり、なでれば気持ちよさそうにとろんとした目で飼い主に体の全てを預けてくる個体がいます。飼い主の指をなめて、真剣に毛づくろいをしてくれる個体、飼い主の肩に登る個体、飼い主のお布団で眠る個体など、甘えん坊になることもよくあります(通称:ベタ慣れ)。知能が高く、「お手」やその場でくるりと回る「おまわり」などの簡単な芸はもちろん、シーソーやスラローム、トンネルなどをこなすアジリティや、犬用の知育パズルなどをクリアできる個体すらいます(個体差が大きいですが)。「小さな犬」、と表現されることもあるぐらい、それぐらい賢くかわいいのです。そう。かわいいのです。
でも、ドブネズミと同じ種類のはずなのに、びっくりするぐらい肺やお腹が弱いです。エアコンやヒーターはケチってはいけません。肺炎になったら薬や吸入薬の投与、時には酸素室を準備する必要も出てきます。酸素発生機はレンタルや購入がありますが、簡単に万札が飛んでいきます。年を取ると腫瘍ができる個体が大半です。手術可能な場合もありますが、10万円は簡単に飛ぶと思ってください。
複数で飼育することが可能ですが、時として血を見るようなケンカをし、ケージを別々にする必要があります。体が大きいため、1匹当たりのケージは大きいものを準備する必要があります。ケージの蓋が甘く、逃げ出して雄と雌が出会って交尾したら最後、それこそネズミ算式に増えます。一度に12匹生まれることだってあります。
ベタ慣れに憧れて飼ったのに、気性が荒く噛みつきまくるような、手に負えない個体もいます。臆病で、飼い主に爪を立てるばかりの個体、抱っこが嫌いな個体、芸なんて一個も覚えない個体もいるでしょう。
またラットは人間にとって強いアレルゲンとなる場合が多いです。ラットアレルギーの発症は、ハムスターより多いように思います(ソースはないですが)。結構毛が抜けるので、くしゃみが止まらなくなる人、引っ掛かれた箇所がミミズばれになる人が多い印象です。はむすたさんも引っ掛かれるともれなくミミズばれになります。ラットの爪は非常に鋭いです。はむすたさんの足と腕は、ラットのひっかき傷だらけです(飼い主によじ登ってこようとするので)。
ハムスターより体が大きく、よく食べよく飲み、そしてよく出します(笑)おならもします。また、オスは背中からの油の分泌が多く、べたついてオレンジ色になりがちです。お風呂に入れることもできますが、慣れていない個体はめちゃくちゃ暴れます。匂いをどう感じるかはその人、および掃除頻度によるので何とも言えません。
壁やドア、タンス、コードに、ソファ、ぬいぐるみまで!何でも齧ります。ダメよ!という言葉は通じません(悪いことをしている自覚はあるのか、「コラッ!」というと走って逃げていきますが笑)。散歩の途中でぽたぽたと少量の尿を落としていきます。マーキングですね。
寿命は2-3年と比較的短いですが、ハムスターよりも体が大きい分、体力がありなかなか死にません。足が動かなくなっても、トイレに移動できずにおしりが排泄物だらけになっても、目も鼻も利かなくなっても、ご飯や水を自力でとれなくなっても、最後に心臓が止まるその瞬間まで生きています。やわらかいご飯を一日に何度も作って与え、やわらかいご飯がついてしまった口元やお腹、尿や糞で汚れたおしりを毎日洗う介護が必要です。
ラットの話をと言って始めましたが、このような話はラットに限った話ではありません。
『飼いやすい動物などいません』
覚悟と事前知識を持って飼い始めてみたら、思ったより飼いやすかった、という場合はあるかもしれませんが…。
ラットが可愛いと思ってくれた方、いいなと思ってくれた方、ラット飼いの一人としてお礼を言います。ありがとう。ね、ラットってかわいいでしょ?賢いんだよ。でもね、飼うなら「調べて覚悟を決めてから飼ってほしい」そして、「最後まで愛してほしい」。とあるネズミが大好きなラット飼育者のはむすたさんからのお願いです。
厳しく脅すようなことを書いて不安に思わせたかもしれません。でも自分で調べて覚悟を決めたなら…ぜひあなただけの可愛いラットをお迎えしてください。模様はたくさんありますよ!ようこそ、ラット沼へ!🐭
お迎えして、それでも分からないことが出てきたら、ぜひSNSでラット界隈に質問をしてみてください。皆優しいので教えてくれると思います。でも、一度は自分で調べてみてください。ネットで、Googleの検索窓でキーワードを入れて検索してみてください。他人にただ聞いただけの知識と、自分でつかみ取りに行った知識は身に付き方が違います。
件のテレビ番組に文句を言いたい。。。ブリーダーが監修についている(?)のなら、安易な飼育につながるような言動は控えてほしいところでした。まああの方は商売もかかっているので必死なのだとは思いますが…おっと、誰か来たようだ。…これ以上は言いません。
文章書くのつかれた~。うちの坊ちゃん嬢ちゃんたちがお散歩を待っているので、そろそろ終わりますね。それではまた🐹ノシ
追伸:
ラット飼育の最高にいい本が最近出たのでおすすめします^^もちろん飼育に当たって、はむすたさんのこのサイトを活用してくれたらうれしいです。まだまだ未完成ですが…
ネズミ完全飼育 マウス、ラット、スナネズミ 最新の飼育管理と病気・生態・接し方がよくわかる